シン・仮面ライダー 映画レビュー
シン・仮面ライダー 映画感想
シン・仮面ライダーを観てきました。 制作が2年ほど前?に発表されてから観るのを楽しみにしてきましたが、驚くことに面白くなかったです。
庵野監督作品を全部観てきて、僕はラブ&ポップが好きです。
何でこんなに面白くないんだろうと考えながら映画をよく観ると、庵野監督自身に絶望がなくなってしまい満たされてしまったからだと気が付きました。 映画は監督のマインドが全てに影響します。
セリフの上では「絶望」という言葉が何度か出てきましたが 博士の絶望、改造人間にされた本郷隼人の絶望、イチロの絶望・・・を役者の方は一生懸命演技で表現しようとしているのは分かりますが、監督に絶望がなくなってしまっているので全部お芝居になっています。
庵野監督は碇シンジ自身であり、永遠の絶望した13歳だったのが恐らくそうでなくなってしまったんでしょうね。
逆にエンディング近辺の穏やかなシーンは庵野監督の心情が伝わってきました。 これが庵野監督の今の心情なんだろうなと思いました。
庵野監督は黒澤明で言うと「乱」を作ったぐらいのところにいて、これから 「八月の狂詩曲」とか「まあだだよ」とか心温まる映画を作っていくフェーズなのかなと思いました。 ただ上記の3作品を僕はおもしろいとは思っていません。
映画史上に残る名作「影武者」を作った後、亡くなるまでの3作品が上記の作品です。
才能はその人のものでもないし、その人にとどまるものでもないんだなと思いました。
僕もたくさんのものを同時に創っていてほぼ100%うまくいかないので常にたくさんの絶望と一緒に生きていますが、それでいいんだなと思えた映画がシン仮面ライダーでした。
宮沢賢治「告別」抜粋
けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで おまへの素質と力をもってゐるものは 町と村との一万人のなかになら おそらく五人はあるだらう それらのひとのどの人もまたどのひとも 五年のあひだにそれを大抵無くすのだ 生活のためにけづられたり 自分でそれをなくすのだ すべての才や力や材といふものは ひとにとゞまるものでない ひとさへひとにとゞまらぬ
NHKで放送されたドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~ を観ての感想
NHKで放送されたドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~を見ました。 これは見て欲しいです。 なんでシン仮面ライダーが面白くないのかが制作の段階からよく分かる、本当に見ていてつらい番組になっています。
つらすぎて2度と見たくないくらいつらい番組でした。
まるで倒産していく会社のドキュメンタリーです。
潤沢な資金と超優秀なスタッフと役者さん、そして仮面ライダーというスーパーコンテンツがありながら駄作ができていく過程がよく分かり、見ていて本当に苦しかったです。
制作の途中でスタッフも役者も映画が失敗だということに気がついていきます。
監督も途中で気がついていきますが、他の人に気づかれないようにしていただけで監督本人(トップ)が一番最初に気がついていたのではないでしょうか?
これは経営者(監督)が何のビジョンも示さず、優秀な社員(役者、スタッフ)に丸投げして倒産に向かっていく恐ろしい話です。
絶望を抱えた永遠の13歳碇シンジだった多くの名作を作ってきた庵野監督が僕には、満たされてしまったお金持ちのおじいちゃんにしか見えませんでした。
改造人間にされた本郷猛の絶望と勇気と希望を描こうとしているとは、映画を観ても番組を見てもとても思えなかったし、そのことについて考えているとも思えませんでした。
三島由紀夫が「君の絶望は体操したら治るような絶望なんだよ」と言いましたが、庵野監督の中から本当に絶望がなくなってしまったんだなと思いました。
ここまで僕が想うのも、恐らく僕が庵野作品のファンだからなのかもしれません。 とにかくシン仮面ライダーがここまでおもしろくなかったのが、僕には本当にショックだったんだと思います。
この番組はどんなホラー映画よりも僕にとっては怖い番組でした。
番組を観る方は映画を観た後に観ることをおすすめします。
小楠も作品をこれから世に出していきます。 映画「仮面ファイター 総合格闘技は日本から生まれた1985」
*映画『仮面ファイター』サウンドトラックアルバム完成記念 『今沢カゲロウ&アートハンド』ライブ
4月16日(日) 今沢カゲロウ (Bs、昆虫画家、他) 公開ライヴレコーディング at:西宮studio rit MOnkey start:19:30 共演:ARTHAND(Ds,Per)
4月19日水曜日 19:30〜21:00 映画『仮面ファイター』サウンドトラックアルバム完成記念ライヴ in新世界 のこされ島
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